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[07.05/]
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の教師初陣

「先に言っておくが、お前らはお客様じゃない。」コイツ、いきなり何を言い出すんだ。
今日は、日差しの強い少し汗ばむ四月にしては暑い日だった。月曜の一時限目。チャイムが鳴ってもしばらく続く楽しげな会話。目の前の男は、生徒たちの存在を無視しているがの如く押し黙ったままだった。さすがに、その空気の異常さを感じ取った教室には、20分後、沈黙が訪れた。それを待っていたかのように、重く閉じていた口を開いたと思ったら・・・。
「教師は、天職だの奉仕者だの言われているが、お前らの言うことをきいたり、機嫌をとるものじゃなし、大体そんな筋合いはない。」
「俺は、『教師』として主に美術に関することを、己の力の精一杯で『教える』。それ以上でも以下でもない、それだけだ。」誰も口を開こうとはしなかった。ただただ唖然とするばかりで、聞いていたのだった。
「今日は、初回だからな。ちょっと門戸を広げて、芸術について考えてみるか。」芸術って、音楽とかもはいるんじゃないのか?大体、そういうことは俺に無縁なんだけど。
「芸術とは、特殊な素材・手段・形式により、技巧を駆使して美を創造・表現しようとする人間活動、およびその作品。建築・彫刻などの空間芸術、音楽・文学などの時間芸術、演劇・舞踊・映画などの総合芸術に分けられる。というのが、辞書による定義みたいなもんだ。すなわち、美しくなければならない。なんたって、美しい(すべ)だろ?」なんだかちょっと難しいんですけど・・・。そんな俺の脳内を見透かしたように、
「って、そんなこと言っても、まだ分からないか。じゃあ、芸術家は儲かるでしょうか?」・・・は?何だソレ。芸術家って結構お金に無縁っぽい感じがするけど・・・。
「芸術は立派なビジネスだ。欲しい人、つまり需要があってこそ作品となりうる。じゃなきゃ、ただのガラクタだ。ちょっと違うのもあるけどな。日本でも有名な人もいる。その人の絵は一枚二億とかするものもあるぞ。」に・・・二億!?ウソだろ!どんな絵だよ!!
「ちなみに・・・俺の今年の春出した作品は、横浜の有名なホテルに既に売却済みで、一枚2000万だ。ってか、もう教師になっちゃったから、あんまり描けないし、売れないんだけどな。」な・・・なんだそれ!2000万って、マンション買えちゃうじゃねえかよ。そんなにスゴいのかよ・・・。
「そういえば、そこの線路の下にスプレーかなんかで描いた、でかいラクガキ見たことあるだろ?アレは、まったく儲からないというか・・・逆に犯罪なんだが、芸術テロという類のものでもあるんだ。ニューヨークの地下鉄でやって捕まった人も・・・って、今日はチャイムが鳴ったのでここまでな。じゃ、終わり。」藤倉の授業は、あっという間だった。そもそも20分なにもしてなかったから、というのもあるのだが・・・。なんだか不思議な気分だ。こんな先生、きっと一生出会えない。何か違う、似たような先生は居たが、何かが違うんだ―・・・
「なんなんだろう・・・。」
「なにが。」持田の顔面が間じかに迫っていた。
「うわっ、驚かすなよ。」
「だって、シュウ授業終わってもボーッとしてんだもん。そろそろ、次の授業始まるから教室戻らないと!ここから教室遠いし。」そんなこんなで、藤倉と俺らの日々が始まった。
 
★ひよりの藤倉日記★(ルーズリーフの片隅)
46日(月)
今日の藤倉先生の格好は、白いTシャツに普通のジーパンだった。
藤倉先生は存在自体が、芸術テロだと思う。




続く。



追記(別名、著者の戯言):#5くらいまで今日書き上がったのですが、いったいどれぐらいの
ペースで話しが進んでいくのか謎です。どこまで続くのやら・・・伝えたいことはたくさんあるのだけれど。(笑
なんかギャグっぽくなっていく気がする。

 
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の教師現る

体育館から教室に向かう生徒たちの足音がパタパタと廊下に鳴り響く。
「あの先生、なんだったんだろうねー?シュウはどう思う?」
「さぁね。新手のエリート教師なんじゃねぇの。」
「違うよ、アレは噂の落ちこぼれ教師だよ、たぶんね。皆が噂してた。」と、優斗が答えた。
「ふぅん、そうなんだー。面白そうだね。」となにやら楽しそうに笑うのは、持田ぐらいだろうが・・・。
「それより、この赤いカチューシャ可愛いね。イメチェン?」と持田の黒髪をサラッとなでる。それを恥かしがることもなく、
「さっすが、優斗!わかってるぅ。どこかのだれかさんと違って。」と激しく俺を睨みつける。
「う、うるせぇ!!」
「はーい、はやく教室に入りなさい。」と担任らしき女教師と、さっきのわけの分からない教師が何故か首根っこをつかまれて引きずられてきた。
 全員が席に着いたのを確認し、黒板に割りと読みやすい字大きく自分の名前を書いた。
「桜井春子です、今日から14組の担任をします。教科は英語、よろしくね。」さっきとは裏腹に爽やかな笑顔で言う。若く見えるけど、きっと30代はカタイだろうな・・・とぼんやりと窓の方を眺めて、ふと視線を黒板に戻すと、桜井春子のとなりにミミズが這った跡のような字で藤倉雅と書いてあり、その字を書いた本人は苦しそうにみぞおちを押さえている。何があったかは、俺にも想像に難くない。字はまさにミミズの這った跡なのだが、どこか芸術性を帯びている。
「ふ・・・ゲホッゴホッ・・・ふじくら、ウヴンッ・・・みやび・・・です、・・・副担任をします。」息絶え絶えに自己紹介をしている。雅とかいて「みやび」と読むらしいが、どんだけダメージを食らっているんだ。
「教科は、美術を教えます・・・美術は人に教わるものではないぞ。」いや、今、自分で教えるって言ってたけど。
「自分で感じ取るもんだ。ちなみに、桜井せんせーの歳は、さn・・・ゴフッ。」その、ちなみにはいらなかったらしい。
「さんじゅー・・・・・・・・・・・・・・・。」
言葉を発した3秒後、藤倉先生はご臨終なさった。
一方、桜井先生は、にこやかな顔で何もなかったかのように、その場を流す。
「じゃあ、一人ずつ自己紹介してもらおうかな。窓側の君から、名前と趣味と入ろうと思っている部活とか好きなこと喋ってちょうだい。」趣味・・・、無趣味というわけではないが、何を言えばいいんだ。だから自己紹介って嫌いだ。俺にはそんな特出すべきことなんてなにもないのに・・・。
「朝木優斗です。趣味は水泳と音楽を聴くこと。部活は水泳部と吹奏楽部で迷っています。よろしくおねがいします。」と眩しいばかりの微笑み。優斗は、誰にでも優しくて、いつもニコニコしてて、身長も高いし細身で、とにかくモテる。色素の薄いサラサラの髪は少し長めで、肌の色はほどよく白い。女がよく言うまさに、王子様ってトコロだ。しかし、この王子様ちょっと変わっていて、いつも俺らとつるんでいる。そんなことより・・・俺は何を言えばいいんだ。と何を言えばいいのか考えているうちにあっという間に、俺の3人前まで来ていた。
「持田千景って言います。趣味はぁ、人間観察で、部活はバスケ部に入ろうかなーって思ってます!友達募集ちゅー!」はちゃめちゃだな・・・。持田は、顔もスタイルも良い。だが、性格は最悪だ。俺を毎度毎度おちょくっているとしか思えない。端から見れば、黒髪の可愛い女の子だが、残念ながらそんなタマじゃない。何かと俺に突っかかってくる。そんなこと言っているうちに俺の番は来るわけで・・・
「よ、吉野修です。えっと、趣味は・・・特にないです。・・・部活は、まだ何部に入ろうか決めてません・・・。」なんて情けないんだ俺・・・。よろしくの一言も言えないなんて。
 
真上から少し傾いてきた日差しが、教室の中に差し込んでいた。終了のチャイムと同時に、私はシュウの元に駆け寄った。
「相変わらず、冴えないよねぇー。」
「余計なお世話なんだよ。お前なんか意味不明だったくせに。」と、毎回こんな悪態をついてしまうのは、もちろんシュウのことが好きだからであって、いっつもくっついているのに、このアホバカカスは、私の気持ちに微塵も気づいてくれない。全く本当に、しょうもない奴だ。
「いいから、一緒に帰ろうよ。」
「はいはい。」と、今日もそれに優斗がくっついて来るので3人で帰った。優斗は、あんなにモテるけどいつも私たちと一緒に居る。たぶん、私と同じようにシュウのことが好きなんだと、私は勝手に予測している。
 
「ったく、みぞおちはねぇよなぁ。みぞおちは。」と、初日早々に保健室のベットでのびているのは藤倉であり、保健医に文句を言うのであった。
「そう思わない?安藤せんせ。」
安藤先生と呼ばれるこの保険医は、どこからどう見ても、十人中十人が体育教師と答えるような、色黒で筋肉のついたいかにも丈夫そうな体の持ち主で、ヒゲ面のオッサン。強面だが、どこか優しい。
「あー、桜井チャンだろ?乙女に年齢の話は厳禁だよ、分かってないナァ。」とガハガハ声を立ててわらっている。(このオヤジ、よく40年間も保健の先生をやってきたな。)
「ホラホラ、そろそろ俺も帰るから、帰れ。明日から授業なんだろ?準備とかしなくていいのか。」
「あー・・・、まぁ、準備はいらないっちゃいらないですけどね。」とうっすら笑いを浮かべた。
この学校の美術室は、校舎の西側に位置しており夕日がさしていた。美術部なるものはないらしく、一人教室に佇んでいた。
「良い美術室だな。」古い教室ながらも、小奇麗にされており、道具も豊富に揃っている。よく片付けられていて、この上ない環境でいい作品が生まれそうだ。夕日に浮かぶ藤倉の顔はどこか穏やかであった。



続く。



追記(別名、著者の戯言):リアル性を追求しようとしましたが、やはり全てリアル的なのは無理ですね。登場人物にはそれぞれモチーフがちゃんと存在していたりいなかったり・・・当ててみてね!(笑


じまりの日

 現在―、20124月。3年前に我が日本では教育改革が行われた。

国際学力調査PISAで大幅なランクダウン。著しい学力低下に伴い、国はやっと本腰を入れ教育制度を一新。近年、教師による非常識的な事件が多発し大いに紙面を賑わせていたこともあり、教師の質・学力・モラルを上げることから生徒の質・学力・モラルを上げようとした。教育改革の一番の大きな変革は、教職そのものにある。小・中・高校の教師全てを指定難関国公立、及び私立大学での教員免許取得者のみ採用、つまりエリート先生というより、先生は全てエリートという状態を作り出した。悪質なモンスターペアレントの対応・教育委員会その他からの大量の書類など不要な仕事は一切排除、残業の廃止、休暇も増やし、給料も大幅に値上げ。勤務時間は生徒と向き合い、自分の研究などに時間を充てられる様、充実した職種となった。これにより、教師という職種は、高学歴・高収入という国会議員・弁護士・医師などに次ぐ職業となった。そして、この制度が敷かれてから3年目の春が来ようとしていた。

 

 「俺が、先生ですか・・・まさかね。」とぽつりと呟く。

春うらら、平和で柔らかな日差しが眩いこれ以上にない小春日和。教育改革後、エリート教師しかいないこの場に、一人の美術教師が立っていた。その風貌はだらしなく伸びた黒髪はうっとうしく、明らかにやる気の色が見えない。有名美術大学首席卒。賞という賞を獲得し・・・めでたく今日から新任教師である。このご時世いくらエリートで固めようとも、技術・技能系の教師を集めるのは難しい。この男のいた大学は美術に関しては、有無を言わさず全国一だ。しかし、その入試形態はデッサンと作品提出と少々の論文程度で全く学力をみない。そのため、国からの教師免許の認可が下りていない。しかし、この年の美術教師不足は決定的で特例として雇用されたのだった。もちろん、この男が認められたのは美術の能力だけではなかったが・・・。

 

桜っていつ見ても綺麗だよなぁ。儚さは日本の美学だ。花が散るのは早いが、花は毎年咲くし、桜は老木の方が力強く綺麗な花を咲かせるんだよな・・・

そこに若くは見えるが、30代半ばぐらいの割と顔立ちの良い女が、物凄い血相でこちらに足音を立てて走ってくる。

「藤倉先生!何してるんですか、もう入学式始まってるんですよ!!新任教師なのに入学式にでない人がどこに居るんですか!」

「いや―・・・桜って綺麗ですよね。」

「良いから、早く来てください!」

初日早々、教師が教師に怒られる。というか、なんで私がこんな落ちこぼれ教師の教育担当なのよ。ありえない。なんなのよ、このフジクラっていう男は!

『それでは、今年度から我が校に着任されます、新任の先生方をご紹介します。では、そちらの津田先生から宜しくお願いします。』

「おはようございます。東京大学卒、数学を担当する、津田葉です。図形やモデルを使ったわかりやすく、数学に興味を持ってもらえるような授業を展開していきたいと思います。一年生、これからよろしく」と、数名の新任教師のつまらない自己紹介がされる。個性派をきどっているのか、なんなのか俺にはよく分からないが、そんなのどうでもいい。

『では、最後に藤倉先生お願いします。』

ズカズカと壇上中央に進んでいくごとに体育館に小さなざわめきが起こる。白いシャツに黒いスーツ、黒いネクタイなのにどこかだらしがない。黒いぼさぼさの髪に、うつろな黒い瞳。ブラックホールのようになにもかも飲み込んでしまいそうだが、その目は死んだ魚のようだ。風貌に関して言えば、無精ひげが生えてないのが唯一のすくいとも言える。

「えー・・・美術を担当します。以上です。」

あまりにも短すぎる自己紹介にさらなるざわめきが起こる。こうして、新たなる日々が始まろうとしていた。



続く。

追記(別名、著者の戯言):小説初書きです。さっぱりつかめません。
いつの日かBでLな小説に手を出したいです。(何だそれ。
というか、我ながらつまんねぇ小説だァ '`,、'`,、'`,、'`,、(´艸`) '`,、'`,、'`,、'`,、

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