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[07.05/]
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の教師描く

「おーい、授業始めるぞ。だまれ。」先週とは打って変わって、最初から喋らないことを要求してくる。あれは最初だけの脅しだったのか?
「なにしようかー・・・正直、俺は天才だから、お前らに何を教えていいか分からない。」言っている意味が、分からないんですけど。最初だから、デッサンとかやるのかと思ってたけど、俺は美術とか工作とか苦手だから正直、何もしてくれないと助かるのだ。
「芸術・・・美術の基礎、そう、基礎からだよな。」と何か一人納得している藤倉は、突然教室の後ろの美術準備室に消えた。
「おい、持田なにやるんだと思う?」
「さぁ?なんだろうね。シュウから話しかけてくるなんて珍しい。」と持田は質問内容より、俺の行動に感心しきっている。
「ねんどとか?」優斗の脳内は、俺には理解できない。
美術室の机の配置は独特で、横3列でたてに長く配列されている。大きさは教室の机の約2倍で、デッサン用に左4分の3ぐらいが持ち上がる仕掛けになっている。もともと黒色だったが、色とりどりの絵の具がついていて、古いものだから表面は彫刻刀などで彫った跡もありどれもボコボコだった。
「よっと。」藤倉がなにやら大きいダンボールを抱えて戻ってきた。黒板の前の長テーブルにそれを置くと中身を取り出し配り始めた。
「やっぱり、お前らの能力もわかんないし、最初はデッサンでいいよな。スケッチブックは、既に買ってあったみたいだし。」結局そうですか。淡い俺の期待は消えた。
「全員貰ったかー?デッサンを描く前に1つ話しておくか。」今日はなんの話なんだろう・・・と俺は内心美術のことよりも話の方が気になっていた。
「ピカソって知ってるか?」それぐらい、いくら美術に疎い俺でも知っている。あの目とか鼻とかがズレたわけのわかんない絵だろ?
「お前ら、ピカソの絵って目とか鼻とかズレた絵だけだと思ってないか?ピカソの作風はかなりコロコロと変わっていたんだが、有名になったのがその頃ってだけで、若い頃はお前らがうまいと思うような絵を描いていたんだ。」と二枚の絵を黒板に貼った。一枚は誰もが「ピカソ」と言われて想像するような女の人の顔のアップで顔のパーツはゆがみ、色もめちゃくちゃだ。もう一枚は、写真のような精密さをもつ薄暗い病室のような絵だった。
「これは、こっちが死ぬ直前ぐらいの歳で描いたもので、こっちは20歳の時にかいたものだ。」
「つまり、あんな絵を描いていても、基礎はきちんと出来ていたわけだ。」ちなみに、ピカソにはおじいさんになっても若い恋人が居ただとか、名前がやたら長いとかそんな話もしてくれた。
「じゃあ、デッサンはじめるか。隣の人の顔を描くこと。3列だから適当にうまくやってくれ。」って、俺は持田を描くのかよ・・・描いたら描いたで怒られること間違いなしだ。窓側から、俺、持田、優斗の順で座っているから仕方ない。
「今から鉛筆とカッター配るけど、鉛筆とか削れるよな?今どきは電動でガーッってか?」なんか、お前ら出来無そうだから・・・と黒板にチョークでさらさらと削り方を描いていく。無駄な線一本ない分かりやすい挿絵のような絵だった。
「じゃあ、はじめ。」それからしばらく、教室中楽しそうな声で包まれながら、それぞれ向かい合って互いの顔を描いた。
「あと、5分したら回収するぞー。」俺はじっとりと変な汗をかいていた。
「シュウ、見せてよ!もう、描けたんでしょ?」
「い、いや・・・無理!」持田はしつこく俺からスケッチブックをぶん取ろうとする。仕方なしにスケッチブックを渡すと、予想どおりの罵声を浴びせられた。
「ヒドっ。なにコレ。まず人間に見えないんですけど。」ひどいのはお前の言葉のほうだと思うが。
「じゃあ、持田のも見せろよ。」
「いや!恥ずかしいもん!!」なんだそれ。俺の方が何十倍も恥かしいっていうのに。スケッチブックの中身を後ろから見た優斗がクスクス笑っていたら、持田に思いっきりパンチを食らっていた。
「イタイ・・・・・・。」しょげた表情で頬をさすっている。やめておいたほうが賢明だと思った。
授業が終わった後、俺が最後に教室を出ようとしていたとき、藤倉は大きな掃除機で鉛筆のカスを掃除していた。その後姿はなんだか不思議な感じだった。
 
★ひよりの藤倉日記★(対藤倉専用日記)
413日(月)
今日も藤倉先生の格好は、白いTシャツに普通のジーパンだった。
藤倉先生は恋人とかいないと思う。



続く。


追記(以下省略):次までしか書けてねー!!!(汗
ひよりという生徒は今後登場するのか全くナゾです。それより私は安藤先生が(笑
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