忍者ブログ
[07.05/]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


の生徒つぶやく

「久しぶりの授業だな。だるっ。じゃあ、この間のデッサン返すぞー。」あれから2週間、特別時間割やなんやかんやで、月曜の美術はつぶれ続けていた。
「お前らの能力はよぉーーーーーくわかった。なんか、このクラスには宇宙人とかいるみたいだけど大丈夫か?あと、デッサンの裏に一応評価いれといたから。」そ、それは俺の描いた持田のことでは…!?もしや、と思いデッサン裏のページをめくった。青いボールペンで
『もう少し、相手のことをよくみること。』と書いてあった。ちゃんと見て描いたハズなんだけど。
「持田はなんて書いてあった?」
「お、おしえない!!!」珍しく顔を赤くし、焦っている様子だった。
「優斗は?」と差し出されたスケッチブックを受け取ると
『お前、本気か?』ななななななな何を描いた?!ページをもどると…お前か――――――!!!!まさに宇宙人らしき“者”の姿が。
「俺はちゃんと、描いたんだけどなぁ。」わざとらしい落胆の色をみせるが、そんなことで許されるレベルじゃない。後ろの子が知らないことが不幸中の幸いだ。
「そーいえば、なんでお前ら勉強しに来きてるの?」一瞬の沈黙の後、
「さーてやるか。今日は色彩でもやろーっかな。」え。なにそれ。1つ前はスルー?でも、俺なんで勉強してるんだろう。普通に勉強して、普通に学校でて、普通に就職して、普通に結婚して…でなんなんだろう。授業が終わっても、藤倉の言葉が気になりぐるぐるぐるぐるスパイラルに陥っていた。
「…持田と優斗はなんで勉強してるの?将来何になりたいの?」
「はあ?ばっかじゃないの?そんなの普通に学校とか社会に出るため、自分のためよ。」
「俺は別に義務教育だからだけど。」
「じゃあ、どんな大人になりたいんだよ?」
「普通に好きな人を養って、幸せにできればいいかな?」
「さすが、優斗カッコイイなぁ…。」
「…オトナ。嫌な響きね。」と急に冷めた言葉をつぶやかれ、その言葉の意味はなんだったんだろうと思った。持田の見つめる先は遠い遠いどこかだった。
 
『相手のことを想っているのがよく伝わってきます。』見透かされたようで、すごく恥ずかしかった。
「…本人に伝わらなきゃ意味ないのに。」と小声で呟いてみるが、肝心の本人は教卓にたつ教師の話に夢中になっていて、こんなにも近くにいる私には気付いてくれない。
「はい、じゃあ、絵の具取りに来てー。一人二色までだよー。」いろいろ考えているうちに授業はいつのまにか終わっていて、授業が終わってもシュウは藤倉のことばかり考えている。私にはそんなに魅力がないの?―――将来なにになりたいのって聞かれたけど、
「シュウのお嫁さんになりたい。」なんて口が裂けても言えなくて、大人になればなるほど、どんどん距離は離れて行って。大人…汚れてる、当たり障りのない関係、自分を犠牲にしてでも穏便に過ごすの?イヤ。オトナになんかなりたくない。それならずっと子供のままでいい。
「…千景、大丈夫?」優斗は優しい。私もこんな風に気を使えるようにならなくちゃいけないの?優しくすれば、想いは伝わるの?
 
★ひよりの藤倉日記★(対藤倉専用日記)
427日(月)
今日も藤倉先生の格好は、白いTシャツに普通のジーパンだった。
美術って勉強?
PR

の顧問現る

仕方なしに決まってしまった水泳部顧問ということで、さっそく部活をやるから来て欲しいと呼ばれてしまったのだった。プールは校舎の一番奥に位置しており、格技場の上にある。5月の新緑が揺れ、その木漏れ陽は眩しく、爽やかな日だった。
「・・・ふぅ。」職員室から一番遠い場所にあるなんて。行くのさえ億劫である。格技場を含むプールがある建物はコンクリート造りで、1階部分の吹き抜けに足を一歩踏み入れると、日陰のそこはひんやりとした空気だった。目の前にある鉄格子の扉の向こうにプールへの階段が続いている。結構な段数があり、踊場からさらに曲がってあがりきる。高さ的には本館4階建てよりも高い。
「先生、遅いです。」かすかに息を切らし、軽く立ちくらみのしている藤倉に容赦なく文句を言う。
「・・・すまん。こんなに遠いとは思わなかった。」
「じゃあ、部活はじめます。」藤倉を詰ったこの部活の副部長は、3年生で聡明そうだがややキツイ性格の持ち主だった。対照的に、部長はおっとりとニコニコしている。
「お・・・。」やっとシャワーの横を通り抜け、眼前に広がる光る水面に思わず目を奪われる。5月の柔らかではあるが照りつける日差しに、掃除されたばかりのプールに満ち足りている水が反射する。これなら、悪くないかもな・・・と考える藤倉だったが後悔は先に立たずと後に思い知るのだった。
「あ・・・、顧問、先生だったんですね。」どうやら俺が持つクラスの男子生徒のようだった。
「まあな。」今日は、陸トレだけだったみたいだが、来週からもうプールで泳ぐから毎日部活に来て欲しいとのことだった。
「え、だってまだ寒くないのか?」
「でも6月の大会に間に合わないですし、一応水温19度超えたら入ります。」タフな集団だな・・・。人数は8人と少ないが、前顧問の指導でしっかりと部活をし成績もそこそこ修めているらしい。
「先生は、そこの倉庫からイスかなんかひっぱりだしてきて、座って見れてばいいですから。」鉄格子の南京錠を閉め、鍵の当番である1年の生徒と本館に戻るのに、キュッ、キュッとシューズの音が響く体育館の横を歩いていた。
「藤倉先生は、なんで水泳部の顧問になったんですか?」俺に向けられた少年の顔は夕日色に染まり、その目はどこか輝いていた。
「水泳とかやってたんですか?あ、俺、実は泳げないんですけどね。」
「え、・・・いや、俺も泳げないし、たまたまってところかな。それより、泳げないのに水泳部入ったのか。」
「ああ、えーと、特にやりたいこともなかったし、優斗が一緒だったから・・・。」と、チラリと隣の髪の長い少年をのぞく。
「ふーん。ま、頑張れよ。じゃあ、気をつけてな。」ポンポンと頭をなでると、髪の長い少年の方が俺に針のような鋭い視線を向けてきた。ジャラジャラとたくさん鍵のついた木製プレートを下げ、俺は職員室に戻ったのだった。
「あれ、まだ津田先生居たんですか?」
「今日は部活があったので。」と書類などはキチンとファイルに収まり、片付いた机の上に簡易碁盤が開かれ、本を片手に白と黒の石並べに格闘している。
「何やってるんですか?」
「ちょっと、囲碁を覚えようと思って。将棋とチェスはできるんですけどね。」
「へぇ。俺は別に泳げるようになろうとは思いませんでしたけどね。あ、今のところ俺ならノビずにアテるかな。」なんて言ったら、真面目くさった顔で真剣に考え始めた。意外と面白い奴かもしれないな―。



続く。


追記(以下略):さてはてどうしたものか…続きができていないぞ(笑
水面から反射される日光は意外と強いので、日焼けするとイタイですね。ははは。

の教師描く

「おーい、授業始めるぞ。だまれ。」先週とは打って変わって、最初から喋らないことを要求してくる。あれは最初だけの脅しだったのか?
「なにしようかー・・・正直、俺は天才だから、お前らに何を教えていいか分からない。」言っている意味が、分からないんですけど。最初だから、デッサンとかやるのかと思ってたけど、俺は美術とか工作とか苦手だから正直、何もしてくれないと助かるのだ。
「芸術・・・美術の基礎、そう、基礎からだよな。」と何か一人納得している藤倉は、突然教室の後ろの美術準備室に消えた。
「おい、持田なにやるんだと思う?」
「さぁ?なんだろうね。シュウから話しかけてくるなんて珍しい。」と持田は質問内容より、俺の行動に感心しきっている。
「ねんどとか?」優斗の脳内は、俺には理解できない。
美術室の机の配置は独特で、横3列でたてに長く配列されている。大きさは教室の机の約2倍で、デッサン用に左4分の3ぐらいが持ち上がる仕掛けになっている。もともと黒色だったが、色とりどりの絵の具がついていて、古いものだから表面は彫刻刀などで彫った跡もありどれもボコボコだった。
「よっと。」藤倉がなにやら大きいダンボールを抱えて戻ってきた。黒板の前の長テーブルにそれを置くと中身を取り出し配り始めた。
「やっぱり、お前らの能力もわかんないし、最初はデッサンでいいよな。スケッチブックは、既に買ってあったみたいだし。」結局そうですか。淡い俺の期待は消えた。
「全員貰ったかー?デッサンを描く前に1つ話しておくか。」今日はなんの話なんだろう・・・と俺は内心美術のことよりも話の方が気になっていた。
「ピカソって知ってるか?」それぐらい、いくら美術に疎い俺でも知っている。あの目とか鼻とかがズレたわけのわかんない絵だろ?
「お前ら、ピカソの絵って目とか鼻とかズレた絵だけだと思ってないか?ピカソの作風はかなりコロコロと変わっていたんだが、有名になったのがその頃ってだけで、若い頃はお前らがうまいと思うような絵を描いていたんだ。」と二枚の絵を黒板に貼った。一枚は誰もが「ピカソ」と言われて想像するような女の人の顔のアップで顔のパーツはゆがみ、色もめちゃくちゃだ。もう一枚は、写真のような精密さをもつ薄暗い病室のような絵だった。
「これは、こっちが死ぬ直前ぐらいの歳で描いたもので、こっちは20歳の時にかいたものだ。」
「つまり、あんな絵を描いていても、基礎はきちんと出来ていたわけだ。」ちなみに、ピカソにはおじいさんになっても若い恋人が居ただとか、名前がやたら長いとかそんな話もしてくれた。
「じゃあ、デッサンはじめるか。隣の人の顔を描くこと。3列だから適当にうまくやってくれ。」って、俺は持田を描くのかよ・・・描いたら描いたで怒られること間違いなしだ。窓側から、俺、持田、優斗の順で座っているから仕方ない。
「今から鉛筆とカッター配るけど、鉛筆とか削れるよな?今どきは電動でガーッってか?」なんか、お前ら出来無そうだから・・・と黒板にチョークでさらさらと削り方を描いていく。無駄な線一本ない分かりやすい挿絵のような絵だった。
「じゃあ、はじめ。」それからしばらく、教室中楽しそうな声で包まれながら、それぞれ向かい合って互いの顔を描いた。
「あと、5分したら回収するぞー。」俺はじっとりと変な汗をかいていた。
「シュウ、見せてよ!もう、描けたんでしょ?」
「い、いや・・・無理!」持田はしつこく俺からスケッチブックをぶん取ろうとする。仕方なしにスケッチブックを渡すと、予想どおりの罵声を浴びせられた。
「ヒドっ。なにコレ。まず人間に見えないんですけど。」ひどいのはお前の言葉のほうだと思うが。
「じゃあ、持田のも見せろよ。」
「いや!恥ずかしいもん!!」なんだそれ。俺の方が何十倍も恥かしいっていうのに。スケッチブックの中身を後ろから見た優斗がクスクス笑っていたら、持田に思いっきりパンチを食らっていた。
「イタイ・・・・・・。」しょげた表情で頬をさすっている。やめておいたほうが賢明だと思った。
授業が終わった後、俺が最後に教室を出ようとしていたとき、藤倉は大きな掃除機で鉛筆のカスを掃除していた。その後姿はなんだか不思議な感じだった。
 
★ひよりの藤倉日記★(対藤倉専用日記)
413日(月)
今日も藤倉先生の格好は、白いTシャツに普通のジーパンだった。
藤倉先生は恋人とかいないと思う。



続く。


追記(以下省略):次までしか書けてねー!!!(汗
ひよりという生徒は今後登場するのか全くナゾです。それより私は安藤先生が(笑

の教師やられる

 それは、今年度一番最初の職員会議での事だった―――。
「それでは、今日は部活動の顧問の割り当てを決めます。場合によっては、二つ以上持っていただく場合もありますが、希望があったら申告して下さいね。じゃないとこちらで勝手に決めてしまいますよ。」
 ・・・・・・俺はすっかり忘れていた。
今日は、二回目の職員会議。もちろん、色々と話し合いや打ち合わせの話しもあったが、今日は顧問の割り当てが発表される。この学校には、美術部がないから俺はどこに配属されるのか全く不明。文化部はそこそこ数もあり、大体、教師の方も専門の人も多く充実しているので、まずないだろう。かといって、それなりにどこも強い運動部に俺が配属されるはずもないだろうし・・・変な部活じゃなきゃいいけど。と不安はつのるばかりだった。
「希望があった部活動は、ほぼ希望通りで決定された先生方には連絡済です。では、希望がなかった部活の顧問の配属を言います。囲碁・将棋部は津田先生、水泳部は藤倉先生、今年から新設のオーラルコミュニケーション部は桜井先生、体操部と放送部は今年から廃部となりました。以上です。」聞き間違いか?す・・・水泳部だと!?まだ、囲碁・将棋の方がマシだった。と希望を出さなかったことに激しく後悔したのだった。回転する事務イスで、右にくるりと体を向けた。
「津田先生、俺と変わってくださいよ、顧問。」と同僚に懇願してみたが、ヤツは今日も冷たかった。
「嫌ですね。俺は囲碁・将棋部でいいんで。」同情の気持ちさえ、微塵もないらしい。
「俺、泳げない。」
「知りません。」
俺と右隣の津田は、桜井春子が教育担当だ。新任教師の教育担当は二人に一人つく。主に、教科以外での生活指導や事務仕事・学校行事などを教わる。詰まるところ、俺と津田という組み合わせは、新任教師のドベとトップをくっつけたというような取り合わせだった。俺が何を隣でしようが、話しかけようがしらっと、涼しい顔で流される。短く切りそろえられた少し色素の薄い細い髪は繊細で、シワ一つないスーツをキチンと毎日着てくる。容姿も悪くはないが、この上なく面白味のない男だとは思うが、席が隣なので、暇つぶしに俺は、毎日声をかけているのだった。
「でさ、」
「嫌です。」
「ちぇ」



続く。



追記(別名、著者の戯言):今回は全く持って、私もよくわからないオチ&話になってしまいました。大体、なんで美術部ねーんだよ。もともと水泳部の顧問にしたかったのですが、それは私が水泳部だったからというだけです。国語の先生を早くつくりたいなぁ。

の教師初陣

「先に言っておくが、お前らはお客様じゃない。」コイツ、いきなり何を言い出すんだ。
今日は、日差しの強い少し汗ばむ四月にしては暑い日だった。月曜の一時限目。チャイムが鳴ってもしばらく続く楽しげな会話。目の前の男は、生徒たちの存在を無視しているがの如く押し黙ったままだった。さすがに、その空気の異常さを感じ取った教室には、20分後、沈黙が訪れた。それを待っていたかのように、重く閉じていた口を開いたと思ったら・・・。
「教師は、天職だの奉仕者だの言われているが、お前らの言うことをきいたり、機嫌をとるものじゃなし、大体そんな筋合いはない。」
「俺は、『教師』として主に美術に関することを、己の力の精一杯で『教える』。それ以上でも以下でもない、それだけだ。」誰も口を開こうとはしなかった。ただただ唖然とするばかりで、聞いていたのだった。
「今日は、初回だからな。ちょっと門戸を広げて、芸術について考えてみるか。」芸術って、音楽とかもはいるんじゃないのか?大体、そういうことは俺に無縁なんだけど。
「芸術とは、特殊な素材・手段・形式により、技巧を駆使して美を創造・表現しようとする人間活動、およびその作品。建築・彫刻などの空間芸術、音楽・文学などの時間芸術、演劇・舞踊・映画などの総合芸術に分けられる。というのが、辞書による定義みたいなもんだ。すなわち、美しくなければならない。なんたって、美しい(すべ)だろ?」なんだかちょっと難しいんですけど・・・。そんな俺の脳内を見透かしたように、
「って、そんなこと言っても、まだ分からないか。じゃあ、芸術家は儲かるでしょうか?」・・・は?何だソレ。芸術家って結構お金に無縁っぽい感じがするけど・・・。
「芸術は立派なビジネスだ。欲しい人、つまり需要があってこそ作品となりうる。じゃなきゃ、ただのガラクタだ。ちょっと違うのもあるけどな。日本でも有名な人もいる。その人の絵は一枚二億とかするものもあるぞ。」に・・・二億!?ウソだろ!どんな絵だよ!!
「ちなみに・・・俺の今年の春出した作品は、横浜の有名なホテルに既に売却済みで、一枚2000万だ。ってか、もう教師になっちゃったから、あんまり描けないし、売れないんだけどな。」な・・・なんだそれ!2000万って、マンション買えちゃうじゃねえかよ。そんなにスゴいのかよ・・・。
「そういえば、そこの線路の下にスプレーかなんかで描いた、でかいラクガキ見たことあるだろ?アレは、まったく儲からないというか・・・逆に犯罪なんだが、芸術テロという類のものでもあるんだ。ニューヨークの地下鉄でやって捕まった人も・・・って、今日はチャイムが鳴ったのでここまでな。じゃ、終わり。」藤倉の授業は、あっという間だった。そもそも20分なにもしてなかったから、というのもあるのだが・・・。なんだか不思議な気分だ。こんな先生、きっと一生出会えない。何か違う、似たような先生は居たが、何かが違うんだ―・・・
「なんなんだろう・・・。」
「なにが。」持田の顔面が間じかに迫っていた。
「うわっ、驚かすなよ。」
「だって、シュウ授業終わってもボーッとしてんだもん。そろそろ、次の授業始まるから教室戻らないと!ここから教室遠いし。」そんなこんなで、藤倉と俺らの日々が始まった。
 
★ひよりの藤倉日記★(ルーズリーフの片隅)
46日(月)
今日の藤倉先生の格好は、白いTシャツに普通のジーパンだった。
藤倉先生は存在自体が、芸術テロだと思う。




続く。



追記(別名、著者の戯言):#5くらいまで今日書き上がったのですが、いったいどれぐらいの
ペースで話しが進んでいくのか謎です。どこまで続くのやら・・・伝えたいことはたくさんあるのだけれど。(笑
なんかギャグっぽくなっていく気がする。

 
<< 
< 2025/07 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >

忍者ブログ  [PR]